娘の保育園で仲良くしている夫婦がマンションを買うことになった。
この記事で知れること
- 今の家賃と比較した理想の購入金額
- マンションは資産じゃない理由
- 子供との時間かマイホームか
- 余力の使いどころ
知人がマンション(中古)を購入
知人夫婦のパーソナルデータを下記のとおり
夫 | 34歳、会社員 |
妻 | 38歳、無職(求職活動中) |
娘 | 3歳(保育園児) |
現在の住居 | 家賃9万円の賃貸マンション |
車 | 1台 |
子供のいる家庭ではマイホームはやはり憧れが強いし、誰だってより良い住環境を手に入れたい。
そんな知人夫婦が購入した物件はこちら
エリア | 滋賀県大津市(浜大津エリア) |
築年数 | 11年 |
階層 | 11階/12階 |
延床面積(2LDK) | 78.06㎡ |
販売価格 | 3,980万円 |
滋賀県でも草津、守山などについで京都のベッドタウンとしてに人気が高い大津市。その中でも県庁なども近い浜大津エリアに立つ分譲マンションだ。
築年数は10年を超えるが価格は大きく下がっていないイメージで、これが高いか安いかは分からない。維持費は下記のとおり。
手付金 | 200万円 |
管理費 | 14,000円/月 |
修繕積立金 | 13,000円/月 |
周辺駐車場 | 17,820円/月 |
固定資産税 | 13,500円/月 |
ローン返済(金利0.65%) | 101,000円/月 |
毎月の維持費を合計すると159,320円となり、現在の賃貸が9万円と考えると大幅な固定費UPになる。
「いずれ売却する予定」という謎の余裕
マンションを購入した知人から直接聞いた言葉だ。
何年後にいくらくらいで売却する想定なのかは聞けていないが、果たして中古マンションを一定期間住んでから売却することにどれくらいの価値があるのかを検証してみた。
購入価格 | 3,980万円 |
売却(10年後、築21年) | 3,280万円 |
支払総額(頭金含む) | 2,100万円 |
ローン残高(元金9万円返済) | 2,700万円 |
売却-残高 | 580万円(手残り) |
支払総額-手残り | 1,520万円 |
支払総額の月換算 | 12.6万円/月 |
売却価格に関してはただの予想でしかないが、購入時より高く売れる事自体がバブルだと考えると、やはりこういったシミュレーションは保守的な金額で計算したい。
約10年住んで購入時より700万円下がっても、ローン完済後に手残りで580万円残る。じゃあプラスだったのか?
実はそうではない。毎月の修繕積立金や管理費、駐車場代などを含めて15万円ほどを支払い、それが10年続けば1,900万円となる。そこに頭金200万円を併せると10年で2,100万円、35年ローンなら6,890万円となり、毎月12.6万円を支払ってたことになる。しかも、手元に家は残っていない。
住み続ける場合は「リフォーム費用」の捻出がネック
住宅ローンを35年で組むと、今回のケースであれば35年後は築46年のマンションとなる。最低限のリフォームとして水回りはしたいだろう。
35年ローン総額6,890万円に水回りのリフォーム費用が重なれば7,000万円は超えることになり、いかに理想の住環境を求めることにお金がかかるかが分かる。
家賃9万円と合わせるなら2,000万円が限界
この知人夫婦が現在住んでいる賃貸マンションは家賃9万円だ。その金額がその家庭の収入にあった生活レベルだとすると、購入できる物件の住宅ローン限度額は2,000万円だと思う。
購入価格 | 1,980万円 |
売却(10年後、築31年) | 1,580万円 |
支払総額(頭金含む) | 1,427万円 |
ローン残高(元金9万円返済) | 1,276万円 |
売却-残高 | 304万円(手残り) |
支払総額-手残り | 1,123万円 |
支払総額の月換算 | 9.4万円/月 |
購入価格が2,000万円以内なら、管理費や駐車場を含めても支払総額から月換算した金額は9万円弱となる。
もちろん10年後の売却価格が分からないため、上のシミュレーションを基準値とし、売却したい時期の前3年くらいから売却価格を確認しておく必要はあるだろう。
どれくらいの収入だったら4,000万円の家を買える?
知人夫婦の年収はデリケートな内容のため聞けてはいない。ただ奥さんからは「私の収入と夫の収入を併せてやっと生活できるくらい」と聞いたことがある。
それが真実だとすれば、家賃9万円から約16万円にコストUPして家計が耐えられるとは思えない。
住宅関連費 | 159,320円 |
食費(外食費含む) | 50,000円 |
水光熱費 | 25,000円 |
通信費 | 10,000円 |
保険料 | 10,000円 |
日用品 | 10,000円 |
自動車(車検月割、ガソリン含む) | 15,000円 |
養育費 | 5,000円 |
交際費 | 10,000円 |
医療費 | 5,000円 |
娯楽費 | 10,000円 |
お小遣い(夫婦合算) | 30,000円 |
合計 | 339,320円 |
これだけの支出は今と変わらず暮らすなら必要だと考える。
夫(会社員) | 250,000円(手取り/賞与込み) |
妻(6h/1日 時給1,100円) | 115,000円(手取り) |
児童手当 | 10,000円 |
合計 | 375,000円 |
収入の目安も考えてみたけど、夫は年収360万円で妻はフルタイムパートで175万円ほどの年収にした。これでギリギリだし、実際は夫の収入だけで生活費を賄えるようにしないと厳しい。
子供が3歳でそれほどお金もかからない年齢であり、これから負担が増える。だから妻の給与は全額貯蓄や運用に回せないと、夫が体調を崩した場合などに対応できないし、子供の体調不良で妻が満足に働けない可能性だってある。
第二子を望むことに背中を押せない
知人夫婦は妻の年齢的にも第二子を早急に検討しているそうだ。つまり約2年近くは妻の収入が途切れることになる。
厳密に言えばパート先で雇用保険に12か月以上入れていれば「育児休業給付金」も視野に入るが、それを待っている時間は残されていない。つまり、夫の年収が500万円を超えないと貯金を切る崩すことになる。
安易に第二子の背中を押せない。
そもそも何のためのマイホーム購入なのか
人それぞれマイホームへの考え方は違うだろう。ただ子育て家族に共通しているのは「子供のため」が多いように感じる。
今回のケースで言えば、オーバーローンのために妻がフルタイムになり、夫も収入を増やすために残業を多くした場合、それは子供との時間が減る、子供と遊ぶ余裕が減ることにならないだろうか。
それでもマイホームが欲しいのだろうか。
一軒家でも同じだが「タイミング」はズラせる
同じマイホームでも一軒家だって同じだ。毎月の修繕積立金や管理費、駐車場代もかからないが、築年数がたてばリフォームも必要だし、外壁や屋根の修理も必要になってくる。
ただ修理のタイミングはすべて自分が握れることはメリットかもしれない。雨漏りしようが風が吹き込もうが我慢できるのであればそのままでもいい。
その分、相続という点で考えれば、マンションの資産価値は高く、管理不十分な戸建ての価値は不安定だと言える。
余力の使いどころは重要
人生にはいろいろな生き抜き方がある。その1つが住宅ローンを使い、大きなお金を借りることだと思う。しかし、人生は家を買うだけがゴールではない。
純資産で考える癖を身につける
預金 | 500万円 | 住宅ローン | 3,980万円 |
保険 | 100万円 | 負債総額 | 3,980万円 |
金融資産 | 100万円 | ||
家(時価) | 3,580万円 | ||
車(時価) | 350万円 | ||
資産総額 | 5,030万円 | 純資産 | 1,050万円 |
目の前に家があっても住宅ローンを組んでいればそれは銀行の家でもある。返済が滞れば最悪の場合差し押さえになるし、借金は借金なのだ。
だからこそ、年に1度は家の査定をして時価総額を把握すること。そして純資産ベースで自分の資産がマイナスになっていないかを知ること。
もちろん購入前に純資産ベースで考えられていれば、今が家を買うタイミングなのかも分かるし、リスクも減らせる。
「人生は長い」からこそのリスク管理を
人生にはたくさんの決断がある。
- 何歳まで働くのか
- 子供は何人欲しいのか
- 老後はどんな暮らしがしたいのか
それらを決めることは難しくもあり、人生の醍醐味でもある。だからこそ、フルマラソンのペース配分で物事を考えていきたい。
- 子供が巣立ったあとの暮らしは?
- 親の介護は?
- 健康でいるためには?
一般的に家を売るタイミングは子供の進学、もしくは巣立ったタイミングが多いように思う。大きな新しい家に無理して住んでも、家にいる時間、子供との時間、巣立ったあとの夫婦の時間を考えれば、大切なのは「今」で、その今とは「子供との時間」「家族との時間」ではないだろうか。
また住宅ローンのプレッシャーを強めると、親の介護の負担が乗ったときに耐えられなくなる場合もある。そして自分の健康的にも、働き過ぎのストレスや生活習慣の乱れで病気のリスクを高めては本末転倒である。
要するにうまく人生を生きるコツは「出来る限り平坦な山に登ること」で、住宅ローンを組んで家を買うことは他社(銀行)の力を使って急な山を登ろうとしているだけのことだと僕は思う。
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